【徹底解剖】マレーシアの世界遺産都市マラッカはどんなところ?歴史と今が混ざり合う魅力都市マラッカ
2008年に世界遺産登録された町マラッカ。マレーシアでも極めて多民族文化が混在し、歴史的にも常に注目を集めてきた地域です。
今回はそのマラッカについて、観光や経済など様々な視点からご紹介をします。
【マラッカの発展はマラッカ海峡にあり!マレー半島で重要な位置付けのマラッカ】
まずは簡単にマラッカの歴史を振り返ってみましょう。
時は14世紀後半、現在のインドネシア・スマトラ島の王族がマレー半島に渡来し、後のマラッカの土台となるマラッカ王国が成立します。そして15世紀に入り世界で海上貿易が盛んになっていく中、マラッカ海峡に面したマラッカはその立地から貿易港として発展し始めます。この貿易港としての発展の過程こそが、世界の様々な地域からの人の流入と混在、多民族・多宗教が混ざり合う文化を形成することにも繋がり、マラッカがマレーシアの中でも突出した多民族な町となった所以です。
マレーシアの歴史を紐解くと必ず大きく語られるのがマラッカの歴史。
そして、マラッカの歴史を紐解く時に必ず語られるのはマラッカ海峡の存在です。
マラッカの成り立ちとその発展はまさにマラッカ海峡があってこそ。
世界につながる潮流を持つマラッカ海峡に面したその立地、そして現在のインドネシアとも近接する位置関係にあったことから、近隣諸国はもとより世界の国々から貿易拠点として注目を集める場所だったのです。
さらにマレー半島内での位置も重要で、マラッカはシンガポールからもクアラルンプールを含めた首都圏からもほぼ同距離となる位置にあります。
海路は貿易の面で利便性の高いマラッカ海峡に面し、陸路においても主要な都市から同距離で移動が可能なマラッカはマレーシアの経済発展に大きく関係してきました。
それは現在も変わらず受け継がれおり、1957年にマラヤ連邦として正式にイギリスから独立を果たして以降の1970年代からはその交通の利便性を活かし、特に産業面で大きな役割を担ってきました。
【マラッカ州概要】
マラッカ州の基本情報を数字と共にお届けします。
【マラッカ州基本情報】
州名:Negeri Melaka(マラッカ州/メラカ州)
面積:1,664平方キロメートル(マレーシアでは3番目に小さな州)
州都:Bandaraya Melaka Bersejalah(マラッカ市)
人口:93.2万人(2021年)
主な産業:製造業(電子部品、電子機器、大型機械)、サービス業(観光、ホテル、医療)(2019年)
【現在のマレーシアでのマラッカの重要性と役割について】
もともと海洋貿易の拠点として発展を遂げたマラッカですが、1970年頃からはマレーシア政府主導のもと工業団地の建設が進み、現在は州の主要産業である観光業と並んで製造業も活発です。
海に面していることのみならず、マレー半島を縦断する高速道路と州の中心が短時間で繋がること、国際空港であるKLIA(Kuala Lumpur International Airport)からのアクセスも車で約1.5時間。そして半島のほぼ中心に位置していることなどから製造業にとっては利点となるポイントが多いマラッカ。
そのような立地を活かし、マレーシア最大の石油・ガス企業であるPetronas(ペトロナス)は1990年代にマラッカの沿岸町スンガイウダンにマレーシア一の生産量となる石油精製所を設立しています。
Petronasはマレーシア最大規模の企業であると同時に国営企業でもあり、政府と密接な関係を持つ企業がマラッカに重要拠点を設けることを見ても、マレーシア政府がマラッカを重要な位置づけとして見ていることが分かります。
このように、観光で訪れた際に目にする町のエキゾチックな雰囲気と同時に、その道中の車窓では国の経済や産業を支える柱となる様々な生産拠点を目にすることができるのが、マラッカという町です。
決して広くはない州面積に対して様々な姿がギュッと詰まっているのが特徴、そして魅力であるとも言えるでしょう。
【マラッカの未来と発展を大きく担う経済特区「M-WEZ」計画】
そして近年マラッカで最も注目を集めているのが、官民一体となって進められている巨大経済開発プロジェクト「M-WEZ」です。
M-WEZは「The Melaka Waterfront Economic Zone」(マラッカウォーターフロント経済区)の略で。現在マラッカに観光に訪れたら誰しもが足を運ぶジョンカーストリートなどがある町の中心部から、車でほんの10分程度の海岸線一体に完成予定の経済特区です。
そして、Sheng Tai Internationalが開発中の物件「THE SAIL」もM-WEZの中心に位置しています!
経済特区「M-WEZ」の詳細については過去のコラムを参照ください。
このM-WEZ経済特区は、マラッカをマラッカ海峡の重要な港湾都市と位置づけて国内の海洋交通網の推進を目指し、貿易の面ではロジスティクス機能の発展につながる様々なプロジェクトが稼働予定となっています。
そして、貿易部門だけではなくマラッカの重要な産業の一つである観光業にも着目し、新たなテーマパーク、博物館、ショッピングモール、レクリエーションパークなどの開業も予定しています。
マラッカの中心部で歴史に触れる観光ができる一方で、今後開業していくこのM-WEZ経済特区内に登場する施設は最新設備を完備したラグジュアリーな雰囲気で非日常を楽しめるスタイルが多いことも特徴。たくさんの表情を持つ町に成長していくマラッカの今後にマレーシアのみならず、世界の注目が集まっています。
【マラッカの観光で行っておきたいオススメスポット】
ここまではマラッカの歴史や町の成長ポイントを述べてきましたが、やはり観光が楽しい町マラッカ!ということで、マラッカのオススメスポットやグルメなどをいくつかご紹介します。
以前、「マラッカ日帰り観光コース」のご紹介をしており、そちらに代表的なオススメスポットを掲載していますので、まずはこちらをご覧ください。
歴史ある町マラッカ。
町を歩くだけで360℃フォトジェニックな場所だらけなので絞ってご紹介することが難しいのも正直なところですが、さらにお時間がありましたらこちらもぜひ訪れてみてください。
マラッカの町を川から一望できる「Melaka Rivers(マラッカリバー)とリバークルーズ」
マラッカ中心部を流れるマラッカリバー。川沿いには古い建物をリノベーションした可愛らしいホテルやカフェ、バーなどが並び、お店に寄り道をしながら遊歩道を歩くこともできます。建物に描かれた壁画アートが点在しているため人気の撮影スポットにもなっていたり、夜はライトアップされたレストランやバーのテラス席で旅先の夜を楽しむ人達でとても良い雰囲気で、昼夜問わず楽しめるスポットです。
そして、そのマラッカリバーをボートで巡るクルーズも人気です。一周約45分のクルージングは川面から感じるひんやりとした空気も気持ちよくとても快適。日差しに風景が映える日中もオススメですが、日没前の夕陽色のマラッカの景色を見ながらの乗船もエキゾチックな雰囲気に包まれてとても良い時間です。
マラッカ海峡に浮かぶ美しいモスク「Melaka Straits Mosque(マラッカ海峡モスク)」
町の中心部から車で10分の郊外にある、マラッカで一番人気の美しいイスラム教のモスクです。海上にせり出すように建てられ、遠目から見るとマラッカ海峡に浮かんでいるようにも見えるのが特徴。その佇まいからマラッカ海峡とマラッカの町をつなぐ役割も担っているようにも思えてしまうフローティングモスクです。
マラッカ海峡に沈む夕陽をバックに美しく染まるモスクの姿がとても幻想的で綺麗。ということで日没が近い夕方に訪れるのがおすすめですが、タクシーなどが頻繁に通る場所ではないため、必ず帰りの手段も確保してから訪問をしてください。
【何を食べても美味しい!マラッカグルメを楽しもう!】
そして最後は、旅での最大の楽しみと言っても良いマラッカのグルメ情報です。
以前、こちらの記事にてマラッカで食べておきたい三大グルメをご紹介しています。
歴史があり、そして多文化が混ざり合う町マラッカのご飯は本当に美味しいものがたくさんで、滞在中胃袋がいくつあっても足りない…と思うほど食べたいものにあふれています。そんなわけでオススメスポットと同じく、絞ってご紹介することが難しいのが正直なところですが、これも厳選に厳選を重ねて、今回はマラッカに行ったら絶対食べてほしいデザート二種類をご紹介します。
暑いマラッカで食べたいココナッツかき氷「チェンドル」
マラッカに根付いているプラナカン文化のスイーツとして生まれた、「チェンドル」と呼ばれるかき氷。
削った氷の上に、チェンドルには必須の緑色のゼリー、そして小豆などをのせ、たっぷりのフレッシュココナッツミルクとマラッカ名産品である「グラマラカ」と呼ばれる椰子砂糖を溶かした黒蜜シロップをかけていただきます。
緑色のゼリーは、東南アジアのバニラエッセンスとも呼ばれる甘い香りの葉「パンダンリーフ」でうっすらとした味付けと色付けがされています。にょろっとした見た目に最初は抵抗を感じるかもしれませんが、ひと口食べたらその食感とココナッツミルクとのハーモニーにハマること間違いなしです。
海が近いためフレッシュで美味しいココナッツミルクが豊富、そして味の決め手となる黒蜜グラマラカの産地であるマラッカで外せないひんやりスイーツ、チェンドル。マレーシアの各地でも食べることができますが、チェンドルを食べるなら絶対マラッカ!と断言するマレーシア人は多いです。
カラフルで懐かしい味のもちもちスイーツ「クエ」
「クエ」はマレー語でお菓子の総称なのですが、特によく売られているのがこの、カラフルで鮮やかな色合いのういろうのようなクエです。
カラフルな見た目に驚く方も多いのですが、これは伝統で伝わる食材の色素で色付けされています。そしてそのお味はというと、ほんのりとした甘さで素朴な味が多く、もちっとした食感が和菓子にも通じる美味しさ。一度食べると毎日でも食べたい!とハマる日本人が続出です。
クエ自体はマレーシア各地でいただくことができますが、何度もお伝えしているようにここマラッカは多民族・多文化が混在する町。すなわち食べ物も他の町より種類が豊富ということで、このクエもマレー系のものから中華系、そしてニョニャのものまでたくさんの味を楽しむことができます。
【マラッカの歴史と概要まとめ】
その歴史のみならず、現在もマレーシアの中で存在感を放つ魅力あふれる町マラッカ。知れば知るほどその魅力は尽きなく、何度も訪れる人がいることも納得の町です。