人口増で景気上向きに追い風!2024年マレーシア経済上半期まとめ
6月も終わりとなり、2024年も折り返し地点となりました。常夏のマレーシアですが、そんな中でも季節が感じられる各民族のイベントとともにあっという間の半年と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな2024年上半期のマレーシアで特に注目が集まったニュースをご紹介しながら、上半期を振り返ります。
【2024年上半期-マレーシア中央銀行、景気は上向きと見解】
2024年5月17日のBank Negara Malaysia(マレーシア中央銀行)の発表によると、2024年第1四半期(1~3月)の実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比4.2%。産業別では、全ての分野がプラスの成長を達成する優秀ぶりとなりました。
GDPの約6割を占めているサービス業の成長率が4.7%と、前年下半期の成長率4.2%からさらなる成長となったほか、2023年第4四半期(10~12月)には3.6%と減速していた建設業が一気に好調となり、11.9%の高成長率となった点も目立っています。
また、5月20日には4月の輸出額が前年の同月比で9.1%増となっていることも発表され、マレーシア中央銀行は、順調な個人消費とともに輸出がプラスに転換したことがマレーシア経済の安定に寄与しているとの見方も示しています。
この3月からはSales tax and service tax、略称SSTと呼ばれる売上税&サービス税の税率アップが施行されたマレーシアですが、一般消費者が買い控えに走るなどの影響は低いと予想されていました。先述の通り個人消費は順調な数字を維持しているとのことで、上半期の数字の動向を見る限りでは予想から外れない動きとなっているようです。
SST税率アップについては3月公開のこちらの記事もぜひご参照ください。
2024年通年での経済成長の見通しについては、マレーシア中央銀行は当初の予測値4.0~5.0%を据え置きとし、引き続き各産業分野の活発化などを見据えていくことになりそうです。
【3,400万人に到達!人口増続くマレーシア】
2024年5月14日、マレーシア統計局は2024年第1四半期の推計人口が前年の同期比で2.3%増加となる3,400万人と発表しました。
国際連合の最新の推計によると、マレーシアの人口は2060年代には4,200万人台のピークになる予想。そして約75年後となる2100年には3,950万人前後になると予想されています。
マレーシアの人口動向については2023年11月公開のこちらの記事もぜひ参照ください。
先述の国際連合の予測に従えば、マレーシアは今後40年程度に渡って人口が増え続けていくことになり、まさに国としてさらなる成長や勢いが随所から感じられていく40年になりそうです。
ちなみに、今回発表された2024年第1四半期の推計人口3,400万人のうち約3,060万人がマレーシア国民で、外国人は340万人です。外国人の移住率が高いことや、労働力として重要な点であることからもこの比率が今後はどのような推移をたどっていくかもマレーシア経済を見る上での大事な要素となりそうです。
【注目集まるニュースが続く、順調な国際金融センターTRX】
2023年11月、クアラルンプールの中心にある国際金融地区「Tun Razak Exchange(TRX/トゥン・ラザク・エクスチェンジ)」にラグジュアリーな商業施設「The Exchange TRX」がオープンしました。2023年経済総まとめの際に速報としてお伝えしたことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
この6月22日にはマレーシアでは初となるApple Storeがオープン。
今マレーシアで最も注目を集める商業スポットでもあり高所得者層が積極的な購買意欲を向けるエリアでのオープンということで当日はたくさんの人が列を作って入店するなど、その注目の高さがニュースなどでも大きく取り上げられました。
多くの人が目にするニュースでは一般消費者に向けたエリアの盛り上がりが目立ちますが、TRXはマレーシア政府が開発を進める新しい国際金融センターで、現在も開発・建築が順調に進んでいます。
日本人の方はオープンというニュースを目にするとそのエリアの建設が全て完了し営業がスタートしているととらえる方も多いでしょうが、ここマレーシアでは事情が少し異なります。完成したモールや施設の横でもさらなる開発や工事が同時進行し、建物が段階的にオープンしながら一大エリアが出来上がっていく光景が一般的となっています。
このTRXのエリアも現在まさに建設とオープンが同時に進んでいる状況で、保険会社や銀行などの金融機関を中心とした大企業が続々進出。加えて商業施設やコンドミニアムなども集まり、大規模な開発プロジェクトエリアとして国内外からの注目を集めています。
TRXに集まる金融企業やそれに付随する高度な金融に関わる人材も増えていて、エリア全体としてこの一年ほどの成長スピードが特に加速しています。人が集まることでその環境整備として商業施設や住宅に適した不動産物件も高いレベルの需要がさらにアップし、このTRX全体の注目度もさらに高まっています。
好調が続くTRXが今後ますますマレーシアの国際金融センターとしての地位向上の道を進んでいくことで、マレーシアの経済成長のけん引にもつながることが期待されています。
【Googleがマレーシアにデータセンター開設を発表】
2024年5月30日、Googleがマレーシアでのデータセンターとクラウド拠点開設のためにUS$20億の投資を行うことを発表しました。
Googleによると、この投資計画はクアラルンプールを取り囲むエリアとなるセランゴール州中部にある商業団地エルミナ・ビジネス・パーク内に開設予定とのこと。これにより2万6,500人の雇用が創出されること、同時に約RM150億4,000万の経済効果が見込める見解も発表されています。
今回、世界的な企業がマレーシアを拠点の一つとして選んだことにより、今後はマレーシアが投資先としてさらに注目を集めていくことも予想され、世界からの関心を集めたニュースとなりました。
【2024年マレーシア経済上半期振り返りまとめ】
2024年上半期のマレーシアを経済や数字を中心に振り返りました。
人口増のニュースは実際に町を歩いていても強く実感ができるほどマレーシアの各所は活気に満ちている印象を受けますが、実際にGDPの数字でもその活気を再確認できた上半期となったようです。
2024年折り返し後のマレーシアの経済成長にもぜひご注目ください!
【引用元】
Department of Statistic Malaysia Official Portal