安定成長の一年を振り返る!2023年マレーシア経済総まとめ
常夏の国マレーシアも年末となり、ショッピングモールはセールでわき立つとともにクリスマスデコレーションが登場。きらびやかな雰囲気の中で楽しそうに記念撮影をする人々で盛り上がっています。
マレーシアのこの一年はゆっくりではありながらも好調な歩みとなりました。そこで今回は年末の締めくくりとして、2023年のマレーシアの経済や目立ったニュースについて振り返ります。
【好調が続いた2023年のマレーシア経済】
2023年11月17日のBank Negara Malaysia(マレーシア中央銀行)からの発表によると、2023年第3四半期(7~9月)のGDP(国内総生産)成長率は前年同期比3.0%を上回る3.3%増。「国内消費の拡大や労働市場の環境改善、観光客の増加、そして消費が経済成長を支えた。」とのコメントも発表され、低水準だった第2四半期の2.9%から成長の結果となりました。
また、10月13日にアンワル・イブラヒム首相兼財務相により発表された経済の見通しでは、2023年の実質GDP成長率は4.0%、2024年は4.0~5.0%と見込まれているほか、2023年のインフレ率は2.5~3.0%という予測も合わせて発表されています。
【ついにオープン!大きな消費が見込めるモール「The Exchange TRX」】
そんなマレーシア国内の消費活発化を象徴するかのようなニュースがこちら。11月29日、クアラルンプールの中心にある国際金融地区「Tun Razak Exchange(TRX/トゥン・ラザク・エクスチェンジ)」にて商業施設「The Exchange TRX」がオープンしました。
このThe Exchange TRXには、なんと日本の百貨店SEIBUが同日にオープン。
日本人はもちろんのこと、クアラルンプールの多くの富裕層がそのオープンを心待ちにしていたことが分かる連日の盛況ぶりで、そのラグジュアリーなテナント内容が毎日SNSなどで話題となっています。
マレーシアではこのSEIBUにしかないブランドが100以上あること、そして日本のブランドも110以上出店しているとのことで、SEIBUそしてこのThe Exchange TRXが今後マレーシアでの話題モールとなること間違いなしです。
【経済・雇用は明るい兆し】
この数年常に注視されている金利についてですが、マレーシア中央銀行は11月2日の会合で政策金利を3%で据え置くことを決定しています。この一年の動きとしては5月に0.25ポイント引き上げて以降は据え置きが続いています。
また、2024年も引き続きマレーシア経済が好調との予測も発表。先ほどもご紹介した国内での好調な消費、そして大きなシェアでの輸出を見込める企業の雇用環境改善による輸出量増加が予想されていることもあり、堅調な成長が望めるとの見解です。
12月10日には人的資源省より2024年の失業率を3%までに改善させたいとの見解が発表されています。マレーシア統計局発表による2023年4月の失業率は3.5%でしたがその後少しずつ改善しており、今後の国内消費の活発化などを予想するとこの数字を維持、もしくはさらに低い数字に推移していく見方もあります。今後マレーシア経済が緩やかに繁栄していくことへの期待が労働市場にも反映されているため、雇用環境については明るい兆しが感じられることから今回の2024年目標につながっていると考えられます。
【2024年はマレーシア新国王即位でスタート!】
最後はお祝いムードが経済に好影響となりそうな、新国王選任のニュースをお届けします。
マレーシアには13の州があり、そのうちの9つの州に世襲制の君主「スルタン」がいます。そしてなんと、9つの州それぞれのスルタンが5年ごとの持ち回りでマレーシア全体の国王を務めるという、世界を見渡してみてもあまり例のない任期限定となる国王選出制度が行われています。
国王のマレー語での称号は「Yang di-Pertuan Agong(ヤン・ディプルトゥアン・アゴン) 」となり、「統治者の長」という意味。マレーシアでは略称となる「Agong(アゴン)」と呼ぶことが一般的です。
マレーシアの珍しい国王選出制度については、過去のコラムもご参照ください。
現国王である第16代アブドゥラ国王が2024年1月30日にて5年の任期を終えることを受けて今回、10月27日に行われたマレーシア統治者会議にて次期国王選出が行われ、ジョホール州のスルタン、イブラヒム・スルタン・イスカンダル氏が第17代国王となることが決定しました。現国王退位翌日の1月31日に即位となり、任期は規則通り5年となります。
マレーシアでの国王の立場は「実質的な実行権は首相と内閣が握る名目上の行政の長」という位置付けで、あくまで儀礼的な役割となってはいます。しかしながら、ここ数年は政治情勢やコロナによるMCO(Movement Control Order=活動制限令)の中で国民の不安を解消するという点からも影響力が増した印象もあります。
そんな中での今回の次期国王選任ですが、このジョホール州のイブラヒム・スルタン・イスカンダル氏は博識かつ国民との交流を重んじるなど、その人柄が国民からも高い支持を得ているスルタンです。また現国王妃の実兄にあたり、大変仲の良い兄妹であることでも知られています。国民から慕われている現アブドゥラ国王との関係も良好なスルタンが新国王となることで、国民が政治や経済について期待を抱くなど前向きな動向も予想できます。2024年はこの新国王即位という明るいニュースで幸先の良いスタートとなりそうです。
【2023年マレーシア経済まとめ】
ゆっくりと好調な成長が続いた2023年のマレーシア。最後の締めくくりは華やかな「The Exchange TRX」オープンという、嬉しいニュースもお届けできました。
明るい将来を感じさせる新国王即位でスタートする2024年のマレーシアを今後もレポートをしていきます。ご期待ください。