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緩かに成長継続中!2023年マレーシア経済上半期まとめ

気が付けば6月も終わりとなり、今年も折り返し地点となりました。世界中がコロナ禍から完全に日常を取り戻してスタートした2023年、皆様はどのように過ごされましたか?

今回はマレーシアで特に注目が集まった経済にまつわるニュースをご紹介しながら、2023年上半期を振り返ってみます。

【緩かに好調が続くマレーシア経済】

2023年5月12日のBank Negara Malaysia(マレーシア中央銀行)の発表によると、2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比5.6%。産業別では、全ての分野がプラス成長を達成。個人消費の拡大が目立ったこと、インバウンド観光客の増加が大きな要因となり、6四半期連続でプラス成長を維持した、との見方を示しました。

また5月3日には、マレーシア中央銀行が政策金利を0.25ポイント引き上げ3%とすることを決定。2022年好調だったマレーシア経済は、2023年もその流れを継続し、引き続き内需に牽引されて今後の成長が見込める、という見解も合わせて発表しています。

【目立つ建設業成長!MRTプトラジャヤ線全線開通】

GDP成長率が高かったジャンルとして目立ったのが建設業です。前年同期比7.4%増のプラス成長理由は公共交通機関などの大規模再開発プロジェクトなど。3月にはその象徴とも言える公共交通路線の開通が報じられています。

首都圏大量高速輸送(MRT)の「PUTRAJAYA LINE」(プトラジャヤライン)が3月16日に全線開通。工事は二期に分けて行われ、フェーズ1となるKwasa Damansara駅(クワサ ダマンサラ駅)からKampung Batu駅(カンポン バトゥ駅)の区間は昨年2022年6月に運行を開始しています。

そして今回、残りの駅全てを結ぶカンポン バトゥ駅からPutrajaya Sentral駅(プトラジャヤ セントラル駅)が開通。これにより、クアラルンプール中心部からサイバージャヤやプトラジャヤまでの電車でのアクセスが格段に上がることとなりました。

総建設費はRM305.3億。このMRT建設と開通による経済効果はもちろんのこと、現在クアラルンプール中心部に通じる道路は慢性的な渋滞が問題となる中、その混雑緩和も期待されています。

【中国からの投資順調回復】

マレーシア経済を語る上で重要なポイントとなる中国。長きに渡って対コロナ政策を徹底していた中国ですが、2023年に入りその規制を大幅緩和。折しもマレーシア首相交代の時期と重なったこともあり、中国との投資に関する折衝活発化が再開しました。

4月に北京で開催された「マレーシア中国ビジネスフォーラム」で中国を公式訪問したアンワル・イブラヒム首相が、中国からトータルRM1700億、19件の投資を確保したと発表。マレーシアを代表する国民車メーカーブランドProton Holdings Berhad(プロトンホールディングス)の親会社と中国の自動車メーカーとの間での開発提携に関する覚書を締結した他、様々な産業分野での中国企業・団体との合意が進んだとのこと。中国からの投資額としては過去最高の金額となったこともあり、話題を集めました。

中国はマレーシアにとっては2009年より14年連続で最大の貿易相手国で、もはやマレーシア経済にとって欠かせない対貿易国です。コロナ禍で失速気味だった中国経済も規制撤廃で完全復活を目指すべく、今後も積極的なマレーシアへの投資が見込まれています。

【ハラル経済圏強化「ハラル産業マスタープラン2030(HIMP2030)」スタート】

イスラム教徒が国民の約7割を占める国、マレーシア。そんなお国柄ゆえ、マレーシアではそのイスラムに関わる産業が経済の大きな鍵となるケースもあります。

その代表的なものがハラル産業。「ハラル」とは、イスラムの戒律に則った「許されたもの」を意味し、イスラム教徒が食したり身につけたりするものについてはこのハラルに則った手順を踏んだ商品が市場で好まれる傾向が続いています。

スーパーなどの食品売り場にはハラル認証を取得したことを示す認証マークが印字された商品が並んでいたり、食品のみならず、化粧品などのスキンケア商品についても同じくハラル認証を取得した商品が好まれる傾向があります。

この20年ほどで食品を中心としたハラル産業にかなり力を注ぎ、世界全体で20億人いるとも言われている諸外国への対貿易額も拡大を続けていたマレーシアですが、2023年はその貿易額アップを目指してさらに強化を目指す政策が始まっています。

それが、3月にテンク・ザフルル国際貿易産業大臣により発表された「ハラル産業マスタープラン2030(HIMP2030)」です。

マレーシア国内でのハラル製品やサービスにおける新規市場の創出、世界基準で対応可能なハラル専門家などプロフェッショナルの育成と確保、そして統合的なインフラ整備の強化などの政策が打ち出されています。これまでのような単なる対貿易額増加のみならず、マレーシアがハラルについてのビジネスがしやすい環境であることをアピールしたい狙いもあります。

2022年のマレーシアのハラル製品輸出額はRM594.6億。前年と比較すると63.8%の大幅増となる数字となっており、世界でハラル製品の需要が増えていることに直結した数字となっています。マレーシアはこの数字の大きさに着目。今回の「HIMP2030」スタートにより、マレーシアのハラル産業が2030年までにUSD1,132億(RM5,003.4億)規模まで成長する見通しを発表。そして同時に、GDPに占める割合が2025年までに8.1%に拡大するとの見通しを示しています。

【マレーシア経済今後の見通し】

冒頭でも述べた通り、2023年第1四半期(1~3月)のマレーシアの実質GDP成長率は前年同期比5.6%と、プラス成長を維持しています。GDPの6割強を占める個人消費は前年同期比で5.9%増となっている他、小売業での売上高増加や観光産業の回復が見られることで、国民が日々目に見える形で国が経済成長していることを感じられているとも言えるでしょう。

マレーシア統計局の発表によると2023年4月の失業率は3.5%で、前月から若干の改善が見られたこと、さらには24歳までの若者層の失業率も0.1%減となっていることが発表されています。これについては、今後マレーシア経済が緩やかに繁栄していくことへの見方が労働市場にも反映されている、との見通しを発表しています。

【マレーシア経済上半期振り返りまとめ】

マレーシアの経済状況、2023年上半期について簡単に振り返ってみました。

色々と数字も添えてお伝えしてみましたが、マレーシアで日々暮らしていて最も感じることは、数字上では緩やかな経済成長とは言いつつも再開発や建設ラッシュのスピードは非常に速く、町の風景が目まぐるしく変わっていくことです。数年マレーシアを訪れていない方はきっと、マレーシアの急速な成長ぶりに驚かれることも多いのではないでしょうか。

2023年折り返し後のマレーシアの経済成長にもぜひご注目ください!

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