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国王にも任期あり!世界でも珍しいマレーシアの立憲君主制

安定した政治体制と経済成長が続いているマレーシア。日本でも時折、マレーシアの外交や選挙の話題などがニュースとなることはありますが、日本人の多くの方はマレーシアの政治体制やそのしくみについて知る機会は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、マレーシアが今の政治体制になったいきさつ、そして特徴のある点について解説いたします。

【統治の歴史から成り立つマレーシアの政治体制】

マレーシアはイギリスと同じく、君主の権力が憲法によって制限される立憲君主制、議会制民主主義の国ですが、これはマレーシアがイギリスによる統治期間が長く続いたことが大きく影響しています。

マレーシアにおけるイギリス統治の歴史の始まりは1786年。ペナンがイギリス統治となったことを皮切りに、1896年にはマレー半島のほぼ全域がイギリスの統治下となります。1941年からの約3年間に及ぶ日本の統治を経た後はまたイギリス統治へと移り、1957年にマラヤ連邦としてイギリスから独立という歴史を歩んできました。

マレーシアの歴史や国家の成り立ちについては、過去のコラムもご参照ください。

【歴史好き必見】マレーシアはなぜ多民族国家に?マレーシアの歴史と成り立ちからご紹介

イギリス以外の国による統治も含めると、約450年に渡る外国からの統治が続いたマレーシア。そして、特に近代化が進んでいった時期の約170年以上に渡る長いイギリスによる統治はマレーシアという国家や文化形成に多大な影響を与えました。政治体制についてもそれは顕著であり、独立を果たした今も大きな影響を残しています。

【特徴は二つ!マレーシア政治の珍しい点】

立憲君主制を採用している国マレーシアですが、他国ではあまり聞くことのないマレーシア独自の特徴ある制度が二点あります。

【特徴その1】

マレーシア国家としての君主を持つだけでなく、マレーシア全13州のうち、9つの州それぞれにも君主(スルタン)が存在。国と州の二つに君主が存在している。

【特徴その2】

9つの州の君主(スルタン)が交代で5年限定任期の国の君主に選出されるという、選出君主制を採用している。

では、この二つの特徴についても触れながら、もう少し詳しく解説をしていきましょう。

【国王は常に任期限定!世界でも珍しい国王選出方法】

マレーシアの政治や国王について語る際によく登場する単語として「Sultan(スルタン)」という言葉がありますが、これは各州の世襲制の君主のことを指します。

マレーシアには13の州がありますが、そのうちの9つの州にスルタンがいます。そしてなんと、このスルタンがいる9つの州それぞれのスルタンが5年ごとの持ち回りでマレーシア全体の国王を務めるという、世界を見渡してみてもあまり例のない、5年ごとの任期限定となる国王選出制度が行われているのです。

この選出された国王ですが、マレー語での称号は「Yang di-Pertuan Agong(ヤン・ディプルトゥアン・アゴン) 」となり、「統治者の長」という意味です。マレーシア人達は略称となる「Agong(アゴン)」と呼ぶのが一般的です。

(以下、文中では各州君主を「スルタン」、そのスルタンから選出されたマレーシア国家としての王を「国王」と表記します。)

1957年の独立以来続いている5年に一度の国王の選出方法ですが、各州のスルタン達による統治者会議により選出されます。国王や女王が存在する国は珍しくありませんが、任期があり、そして選出により5年ごとに替わっていく国はマレーシアだけと言ってもいい、世界的に見ても極めて珍しい制度を採用している国なのです。

なおマレーシアでは国王誕生日という祝日がありますが、先に述べた通り、その任期は5年。祝日が5年ごとに変わるとあっては分かりづらく色々と混乱が生じますので、毎年6月の第一月曜日にすると固定されています。

現在(2023年3月時点)の国王である、第16代アブドゥラ国王の本来の誕生日は7月30日なのですが、国の祝日としてはその日付とは違う日をお祝いするということになります。もちろん、近親者の皆様は本来の日付で盛大にお祝いすることと推測いたします。

5年ごとの任期限定、そして誕生日を本来の日付とは違う固定の日として祝日とすることも日本の感覚からすると文化の違いが色濃く表れており、なかなか興味深く感じられるのではないでしょうか。

【マレーシア議会と首相、国王との関係性について】

では、マレーシアの政治においてこの国王の存在はどのような位置付けなのでしょうか。その権限や、議会そして首相との関係性などについてもご説明します。

まず国王の立場について。立場としては「連邦の行政権を司る長」となっていますが、政府からの助言や承認に基づいての采配となるため、実質的な実行権は首相と内閣が握る名目上の行政の長になります。

そして議会と首相について。マレーシア議会は二院制で、上院(Dewan Negara)と下院(Dewan Rakyat)で構成され、議員は国王任命と州議会指名による上院、そして下院は国民の直接選挙から選出となります。議席等は以下の通り。

・上院議会議席

任期 3年

定数 70議席(国王任命による議員44名/州議会指名による議員26名)

・下院議会議席

任期 5年

定数 222議席(小選挙区制による直接選挙)

首相の任命は下院議会からとなり、多数の信任を得た議員が国王により首相任命されます。基本的に下院から首相選出、そして予算や法案審議などにおいてもリードするしくみで、このあたりも統治の歴史があるイギリスの制度に影響を受けています。

【国王は伝統と威信を象徴する大切な存在】

先ほど国王の権限について「実質的な実行権は首相と内閣が握る名目上の行政の長」と述べましたが、マレーシアでの国民の視線も含めた国王の存在感はどのようなものなのでしょうか。

マレーシアのスルタンの歴史は、マレーシアが国家として成立する以前となる1400年代から始まっています。

マレーシアの国家の土台となったマラッカの歴史の中で、スルタンの歴史についても触れていますので、こちらのコラムをご参照ください。

歴史で学ぶ世界遺産都市マラッカの魅力!寛容な多民族都市ができるまで

イスラム教を信仰するスルタンは、マレーシア国民の約七割近くを占めるマレー系マレーシア人達(=ほぼイスラム教徒)にとって非常に大切であり、伝統を支える存在でもあります。

そのスルタンを代表する国王は、多数のマレーシア国民の威信の存在ともなるため、国王への批判や侮辱となるような行動に対しては厳しい刑が下される可能性もあります。それほどに、マレーシアでの国王の存在感は大きなものとなっています。

余談ではありますが、現在の国王でパハン州のスルタンでもある第16代アブドゥラ国王は、マレーシアで2020年3月から厳しいMCO(Movement Control Order=活動制限令)が施行されて国民が動揺を見せる中、幾度にも渡り温かいメッセージを発信。取材を行う報道スタッフ達に対して差し入れを行う様子も報じられるなど、国民との距離の近さ、そして親近感溢れるその姿が好感を呼び話題となりました。

【マレーシアの立憲君主制まとめ】

今回は、世界でも珍しいと言えるマレーシアの立憲君主制、そしてマレーシアでの国王の存在などについて解説をしました。

各州にもスルタンが存在する、ということを知った上でマレーシアの各地を旅行すると、観光の際の着目点も少し変わってくるのではないでしょうか。

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