富裕層増えるマレーシア。経済成長で豊かになったマレーシア人の暮らし
この数年、非常に好調なマレーシア経済。2023年上半期も順調に経済成長が進んでいることを以前お届けしました。
そんなマレーシア経済ですが、今回は実際にマレーシア人達の暮らしがどう豊かになっているかについてご紹介します。
【上昇傾向が続く!マレーシアの経済成長】
まずは、経済活動の指標となる一人当たりのGDPについて見てみましょう。最新の数字となる2022年の1人当たりGDPは、USD12,364。もちろん過去最高となります。
●マレーシア 一人当たりGDP(名目) ※単位:USD
2015年/9,663
2016年/9,523
2017年/9,965
2018年/11,077
2019年/11,213
2020年/10,270
2021年/11,371
2022年/12,364
2015年からの推移を見てお分かりの通り、順調に上昇。2020年はコロナによるMCO(Movement Control Order=活動制限令)の影響から失速したものの、翌年からはまた上昇傾向に転じました。また、2022年のマレーシア経済成長率は8.7%と、東南アジア主要国のなかで最高を記録し、アジアで最も勢いがある国と言えるでしょう。
2023年も残り2カ月ほどとなり、引き続き順調な経済成長で2022年を超える成長率予想が出されています。
【マレーシア人の暮らし:年収と月収は上昇傾向】
では、実際にマレーシアの人達はどのような暮らしぶりなのか。生活に直結する収入に注目してみます。
収入や物価の話題の際に注意すべきことの一つが、どの地域で集計された数字であるかという点です。日本の0.9倍となる広い国土を持つマレーシアですし、マレー半島とボルネオ島では環境も異なります。今回はマレーシア全体の数字と合わせて、日本の東京・首都圏と同等となるエリア、クアラルンプールとセランゴール州でのデータも見てみましょう。
マレーシア全体、そしてクアラルンプールとセランゴール州での給与や年収事情は以下の通り。
※今回は、より実態に伴った数値に近いとされる「中央値」を採用しています。
●マレーシア全体の年収及び月収
年収/RM27,000
月収/RM2,250
●クアラルンプールの年収及び月収
年収/RM36,648
月収/RM3,054
●セランゴール州の年収及び月収
年収/RM34,608
月収/RM2,884
上記は一人当たりの数字となりますので、世帯単位の場合は当然さらに数字が上がります。
会社員の給与や収入はこの10年間上昇し続け、自ずと最低賃金も上昇。2018年は月収RM1,000の規程であったのに対し2023年現在は月収RM1,500と、特にこの5年ほどの上昇率が著しく高く、経済格差も少しずつ狭まっています。
このマレーシアの年収及び月収の数字だけを単純に円換算をして日本のそれと比較した場合、やはり日本の方が数字は高く、マレーシアが豊かになっているとは実感しづらいかもしれません。しかしながら、食費や光熱費、住居費などが日本の1/2~2/3程度で抑えられる現在のマレーシアの物価状況と照らし合わせ、さらに日本の税金、物価や光熱費高騰、給与水準が上昇しない現状を考慮すると、どちらが可処分所得を増やせるかは明白でしょう。
【東南アジアNo.1!増えるマレーシア人富裕層】
人々の平均的な暮らしの水準が上がると同時に着目したい点が、マレーシアでの富裕層と位置付けられる層の増加です。
現在マレーシアでは年収RM127,000以上となる富裕層が人口の約二割を占めており、これは東南アジアの中で最も高い数字となります。この富裕層率もこの10年で増え続けており、もちろん今後も加速する見通しです。
これは数字のみで見るよりも実際にマレーシアの町を歩いてみると実感できることで、クアラルンプールのハイブランドが軒を連ねるショッピングモールでは、高い購買力を持った富裕層が買い物を楽しむ光景が日常となっています。また、高級路線を掲げる飲食店のオープンも増え、以前は外国籍駐在員等が主なターゲットだった高級寿司店やミシュラン掲載店が、マレーシア人顧客メインにシフトしているという状況も見られます。
彼らの積極的な消費活動はマレーシア国内にとどまらず、海外旅行も以前とは比較にならないほど頻繁です。ヨーロッパや中東はもちろん、もともと人気のあった日本への旅行も円安加速によりさらに上昇。「日本は良質なサービスを安価に楽しめる国」としてマレーシア人達の間では大人気となっています。
【マンパワーも増大!国全体が豊かになっている要因】
マレーシア人の暮らしが豊かになっていることの大きな理由として収入の増加を挙げましたが、それ以外にも日本と比較した場合に特徴的な点がいくつかありますので、ご紹介します。
<1>個人にかかる税金の少なさ
マレーシアでは個人にかかる税金が日本の税金・社会保障費と比較するとかなり少ない、という特徴があります。個人からの税収メインは所得税、そしてSST(Sales and Services Tax)となります。日本でよく聞く住民税、相続税、贈与税、そしてキャピタルゲイン税はありません。サラリーマンはもちろん手取り収入が多くなり、不労所得による収入の際も日本よりもかなり有利となります。
<2>非常に若い平均年齢
そして、もう一点の特徴が国民の平均年齢です。日本は誰もが知る少子高齢化社会に突入していますが、マレーシアは国全体としての平均年齢はここ数年、29歳前後を保っています。出生率もかなり昔と比べると下落しているとは言え、人口ボリュームゾーンは20代~30代となり若い世代の国と言えるでしょう。
平均年齢が若いということは様々な市場に成長の可能性があること、そして収入増もあって消費活動も活発化し良い循環が生まれる要因となります。
このように、マレーシアは今まさに国として成熟期を迎えている、と言っても過言ではないのかもしれません。
【富裕層増えるマレーシアまとめ】
今回はマレーシアの富裕層、そしてマレーシア人の豊かな暮らしについてお届けしました。数字やその理由から、いかに人々の暮らしが豊かになり国としても成熟度が高まっているかがお分かりいただけたでしょうか。
実際にクアラルンプールなどの町を歩いてみると、道行く人達の明るい表情からもその豊かさが実感できるものです。マレーシアにお越しの際はぜひそんな視点からも町の風景を観察してみてください。
【引用元】
外務省 マレーシア基礎データ
Department of Statistic Malaysia Official Portal