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安定成長の源!天然資源の宝庫マレーシア

緩やかに順調な経済成長の道を歩んでいるマレーシア。今回は、その成長の大きな一因となっているマレーシアの天然資源に注目します。

【天然資源と共に歩んできたマレーシア発展の道】

マレーシアの天然資源と経済発展はどのような歴史を歩んできたのでしょうか。概略をご紹介します。

1957年にマラヤ連邦としてイギリスから独立したマレーシア。当初、マレーシアの経済は農業を中心として歩み始めますが、すぐにその豊富な天然資源を活かした経済政策へと切り替わっていきます。その後、1970年代からは工業化が加速。電子産業などの製造業の躍進が起爆剤となり、現在のマレーシアの成長に繋がっています。

製造業の存在感と同時に、国内外へ長きに渡って安定供給が保たれているのが天然資源です。決して大きくはない国土ながら天然資源がかなり豊富なマレーシア。特に天然ゴム、パーム油、原油、液化天然ガスの生産量は常に世界上位の生産量を誇り、同時にそれらの輸出大国としても知られています。

【国家予算と密接な関係。原油及び液化天然ガスの重要性】

では、ここからはそれぞれの資源について、そしてその資源を取り巻くマレーシアの状況にも触れていきます。

まずは原油について。マレーシアが原油産出国である事実は、ぼんやりとマレーシアを知っている層の方にも認知されているほどで、それだけインパクトのある情報と言えます。

マレーシア最大の石油・ガス企業であるPETRONAS(ペトロナス)。マレーシアを訪れたことがある方なら一度はその町角で、ガソリンスタンドのグリーンのロゴを見たことがあるはずです。1974年に創設されたPETRONASは、誰もが知るマレーシア最大規模の原油及び液化天然ガス(以下LNG)の供給を行う企業であると同時に、国営企業でもあります。

また近年注目を集めているLNG。世界的な流れとして再生可能エネルギーへの切り替えが進む中で注目度は加速しており、今後世界で需要がさらに高まることが予想されます。

マレーシアでは、東側に位置するサラワク州沖にPETRONASとサラワク州政府等の出資による世界最大クラスとなるLNG液化基地を保有。このガス田から生産されるLNGは日本や中国をはじめとした各国のガス会社に向けて輸出されるなど、アジアではトップの総輸出量を誇っています。

マレーシア国家予算の歳入は、約20%強(2022年データ)をこの国営企業であるPETRONASの法人税や配当によって賄われています。この歳入における割合の高さから見ても、マレーシアが原油・ガスの産出国である重要性をお分かりいただけるでしょう。

【暮らしに欠かせない!安定供給が続くパーム油】

そしてここからは、原油の次に知られているもう一つの油、パーム油をご紹介します。

マレーシアを訪れた際、飛行機の窓からこんもりと丸い木々が延々と生い茂る光景を見たことがある方は多いのではないでしょうか。この木の正体こそがパーム油の源、アブラヤシのプランテーションです。

パーム油は現在世界で最も生産量が多く、そして多用されている植物油です。マレーシアでは1970年代からは積極的なパーム油の元となる果房収穫のため、アブラヤシのプランテーション政策が進められました。そして、1980年代からはインドネシアもそれに参入。現在はマレーシアとインドネシアの二カ国が世界のパーム油生産の80%以上を占めると言われています。

実は人々の暮らしに欠かせない存在となっているパーム油。液体としての食用油での利用はもちろんのこと、私達の暮らしの身近なところにある様々な商品で使われていることは、あまり知られていません。

例えばマーガリンやチョコレートなどの食品原材料。食品以外では、石鹸やシャンプーなどにも含まれています。また、酸化への耐性が強いことからインスタント麺の揚げ油に使われたりするなどその用途は多岐に渡り、国を問わず私達が生活する上で欠かせないものとなっています。

先ほど、「パーム油は現在世界で最も生産量が多い」と記しましたが、アブラヤシは年間を通じて実をつけるため収穫量が他の植物油原料よりはるかに多く確保できることが特徴となります。マレーシアは早い段階からその点に着目、国土面積を活かした広大なプランテーション整備に力を注いできました。その結果、現在はパーム油市場をけん引する安定供給を生み出す世界最大の生産・輸出国となっています。

また、食用や生活用品への利用とは異なる分野での注目も集め始めています。この10年ほどで、再生可能なバイオマス発電の燃料としてパーム油を採用する発電所が急増。世界中で問題となる温暖化防止のためのCO2削減も急務となる流れから、再生可能エネルギーとして今後さらに注目が集まると予想されており、今後のマレーシアのパーム油市場では生産量の拡大が見込まれています。

【コロナ禍で注目高まる!マレーシアの天然ゴム】

イギリスの統治下時代から始まったマレーシアの天然ゴム栽培。時代背景も手伝い、一時期はマレー半島各地にゴム園が拡大。1970年代にはその生産量は世界トップとなりますが、その後は他国に追い抜かれ近年は5位~10位の間を行き来しています。

そんなマレーシアの天然ゴム業界ですが、まだ記憶に新しい2020年からのコロナ禍において、再び脚光を浴びることとなりました。マレーシアを拠点とする世界有数の医療ゴム手袋メーカー、TOP GLOVE(トップ・グローブ)の躍進です。

もともと、天然ゴムを使用した高品質な医療用ゴム手袋を生産するメーカーとして世界的に認知されていたTOP GLOVE。コロナ禍の医療機関での使用量急増、そして個人用の防具としても着目されたことも手伝い、コロナ禍ピークの一時期は輸出量に生産が追い付かない事態となるほど世界中で需要が高まりました。

コロナ禍で世界の国々はどこも輸出入を始めとした産業への影響が大きく、マレーシアも例外ではありませんでした。豊富な天然資源を要するマレーシアとは言え、既存の製造業への制限や需要の落ち込みは大きな打撃となりましたが、そんな中でTOP GLOVEの製品需要拡大はマレーシア経済の底上げに大きく貢献しました。

そして一時期は落ち込みを見せた製造業も、マレーシア政府が2021年後半から段階的に行ったMCO(Movement Control Order=活動制限令)緩和により、電気・電子製品などの輸出を中心に復活の道を辿り始めます。マイナスに転じていた製造業のGDP成長率も2021年は9.5%増と飛躍的に回復。制限が完全解除となった2022年は3.9%増と、引き続きプラス成長を達成しています。

【エネルギー安定供給で人々の暮らし豊かに】

世界が注目するマレーシアの天然資源についてご紹介してきましたが、これらの資源が豊富であることはマレーシアと日本での暮らしにかかる費用の差にも大きく関わっています。

例えば、日本は世界的に見て電気代が高額であると言われています。世界情勢などもありますが、やはり発電のための原料をほぼ輸入供給に頼らなくてはいけないことが、その価格を上げざるを得ない最大要因と言えるでしょう。

一方で、マレーシアの電気代は概ね日本の3分の1程度と算出されています。(※世界情勢等により多少変動はあり。) 自国にて安定したエネルギー供給を行うことができる強みはそのまま人々の暮らしに直結しますので、これはやはりマレーシアの大きな魅力と言えます。

【マレーシアの豊富な天然資源まとめ】

マレーシアが豊富な天然資源に恵まれていること、そして時流に乗りながらそれを活かした輸出大国として成長していることも、お分かりいただけたのではないでしょうか。

天然資源を産業とすることで、他国の経済・災害などの影響を受けにくく、優位性を保てるという利点もあるマレーシア。安定した経済成長はこのあたりも大きな要因となっており、今後の成長もますます期待できそうです。

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