【最新レポート】2022年5月のマレーシア・ニュース
この一カ月にマレーシアで暮らす日本人の間で盛り上がった現地最新情報、そしてマレーシア国内で注目されたニュースをお届けします。
【30年ぶりの珍事!ラマダーン月明け祝祭ハリラヤ急遽一日前倒しで大混乱】
5月のマレーシア最大のニュースはなんと言っても、“5月3日が初日のはずの祝祭「ハリラヤ アイディルフィトリ(Hari Raya Aidilfitri)」が直前に一日前倒しで5月2日になった!”ことに尽きます。祝祭の日付が前日に変更になる珍事。一体どういう出来事だったのか、詳しく解説します。
まずラマダーン月とは?イスラム暦は月の満ち欠けによる太陰暦で進み、その太陰暦九番目の月がラマダーン月となります。この一カ月は夜明けから日没まで一切の飲食、喫煙などを断ち、喧嘩や争いごとを避けて自身の信仰心を高める期間となります。非イスラム教徒から見るとインパクト大の「断食」にばかりフォーカスされがちですが、ラマダーン月の信仰行為は多岐に渡り、マレーシアのみならず世界各国に住むイスラム教徒全てが同じように過ごす信仰行事です。
その厳しい一カ月を乗り越えたことを祝うイスラム暦10番目の月初日を、マレーシアでは「ハリラヤ アイディルフィトリ」(または「ハリラヤ プアサ」)と呼び、イスラム教徒にとって一年で一番大切、と言っても過言ではない日となります。今年2022年のハリラヤ アイディルフィトリ(以下ハリラヤ)は5月3日とカレンダーにも明記されていましたが(ただし、カレンダーをよく見ると「変更もありえる」と注記があります)、なんと直前である5月1日夜8時過ぎに一日前倒しになるとテレビやネットで報じられ、大いに混乱を巻き起こしました!ちなみにこのような事態は1982年にも一度あり、実に30年ぶりの珍事です。
引用元:「Umat Islam di Malaysia sambut Aidilfitri pada Isnin」https://www.astroawani.com/berita-malaysia/umat-islam-di-malaysia-sambut-aidilfitri-pada-isnin-359508
簡単に説明をすると「新月の見え具合で新しい月の訪れが一日早まった」ということですが、日本人の感覚としてはカレンダーにも明記されている祝日がお月様の具合で急に前倒しになるなど、にわかには信じがたいことかと。例年であれば、毎年ハリラヤ予定日となる二日前の夜にイスラム機関の権威者によって「今年のハリラヤはカレンダー通りの日付」とアナウンスされ、その日付はだいたい当初の観測予想と狂うことはないのですが…。今年は本来翌日に観測されるはずだった新月が見えた(見えてしまった)、ということで急にこのような発表となりました。
後ほどのハリラヤレポートにて解説しますが、ハリラヤ初日は様々なお祝い料理を用意したりご挨拶行事が目白押し。その準備は相当な気合いの入りようなのですが、まだ一日猶予があったはずが急遽明日の朝にはすべてを終わらせなくてはならない!という事態になり、マレーシア中のイスラム教徒達は一気に忙しさに追いかけられる一夜となりました。
とは言え、断食が一日短縮されて嬉しいハリラヤ初日を迎えられることに喜びを隠せない雰囲気はマレーシア中に駆け巡り、各地でお祝いの花火が盛大に上がるなどとても盛り上がる一夜となりました。
【ハリラヤの過ごし方とは?二年ぶりのハリラヤに盛り上がったマレーシア】
2022年5月2日、マレーシアではイスラム教徒のラマダーン月が明けた祝祭「ハリラヤ アイディルフィトリ(Hari Raya Aidilfitri)」を迎えました!
ハリラヤ、それは国民の約七割近くを占めるイスラム教徒が暮らすマレーシアでは最も盛り上がるイベント&ホリデーです。今回は約二年間に渡るMCO(Movement Control Order=活動制限令)でほぼ一切のハリラヤにまつわるお祝い事が禁じられていた空白後の全面規制緩和ということで、相当な盛り上がりと各地の人出となりました。
せっかくですので、今回はハリラヤというイベントの中身を知らない方のためにその過ごし方や伝統について、解説をいたします。
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<ハリラヤ休暇とは>
ハリラヤは実家帰省をして過ごすのが一般的。初日から一週間程度は実家滞在や親族へのご挨拶行脚のため帰省休暇を取る家庭が多く、それをマレー語で「Balik Kampung(バリッ カンポン)」=「田舎(Kampung)に帰る」と言います。そのため全国で激しい帰省渋滞が起こるほか、学校や企業も連休になることからマレー系マレーシア人に限らずホリデーを楽しむ人は多く、飛行機やホテルなども売り切れが続出する時期です。
<ハリラヤにすること>
ハリラヤ前夜までに家中の大掃除を終え、カーテンなどを新しくつけかえ、家族お揃いカラーでハリラヤの伝統衣装となる「Baju Raya(バジュ ラヤ)」を新調。お祝い料理の準備に追われます。
ハリラヤ初日の朝は新調したバジュラヤを着てモスクへ礼拝に出掛け、家族での記念撮影も熱心に行われます!その後は親族宅へ「Raya(ラヤ)」と呼ばれるご挨拶訪問の行き来ラッシュとなります。子供の数も多く親戚付き合いが盛んなマレーシアですから、一日に何軒もご挨拶周りをするのが一般的。祝祭と聞くとお祭りが各地で開催されるの?と思う外国人もいますが、主にお互いの家を行き来してこの一年を無事に過ごせていること、そしてこれからもお世話になることを含めたご挨拶がメインの日々となります。
<【お料理編】ハリラヤの風物詩あれこれ>
これがなくてはハリラヤを過ごせない!というアイテムをいくつかご紹介します。まずはお祝い料理から。
「Ketupat(クトゥパッ)」と「Rendang(ルンダン)」
クトゥパッは椰子の葉をひし形に編んだ中にお米を詰めて茹でたお祝いの席では欠かせないお料理で、その見た目も食感も粽のような雰囲気です。
味付けはなくお米の味と食感のみ。ルンダンという牛や鶏肉のココナッツミルク煮込みに絡めていただくのが一般的です。
このクトゥパッはなんと今でも手作りが主流。マレー系マレーシア人なら幼い頃はおばあちゃんと一緒に自宅で作ったことがあるため、だいたいの人が可愛い四角い形に編んで作ることができます。
今回突然ハリラヤ初日が一日前倒しになったことで、ラマダーン月最終日にこのクトゥパッを茹でようと思っていた家庭が慌てて徹夜でクトゥパッ茹でをした、というニュースも話題になりました。
「Lemang(レマン)」
ココナツミルクに浸したお米を長い竹筒に詰め、時間をかけて炭火で炊き上げたこの時期だけのお祝い料理。
竹筒をかち割って取り出した筒状の中身を輪切りにし、先ほどのルンダンやピーナッツソースと合わせていただきます。
ココナッツミルクの味わいと塩気、そのもちっとした食感は日本人にもファンが多いです。
「Kuih Raya(クエ ラヤ)」
「クエ」はマレー語でお菓子の総称ですが、ハリラヤに合わせて用意をするお菓子のことをクエラヤと呼びます。ハリラヤでは主にクッキーや油で揚げた数多くのサクサクとしたお菓子が楽しめ、どれもひと口サイズでお話をしながら食べやすいのが特徴。
各家庭では、テーブルなどに何種類ものクエを並べて自宅にラヤ(ご挨拶)にいらしたお客様に振る舞います。甘いものが大好きな子供達は行く先々で出されるクエラヤをいただくことがとても楽しみ!
<【イベント編】ハリラヤの風物詩あれこれ>
「オープンハウス」
ここまでご紹介したハリラヤ料理を楽しめるチャンスが、「オープンハウス」。ハリラヤは初日から一週間程度の休暇期間のことと思っている方も多いのですが、実は一カ月続くもの。イスラム暦の10番目の月の間はずっとハリラヤで、イベントが目白押し。その最たるものがこのオープンハウスです。
日本では馴染みのないイベントですが、普段お世話になっている方や親戚を自宅に招いたり、職場単位で会場をレンタルして開催するカジュアルな食事会のようなもので、ハリラヤ中は主に週末に盛んに開催されます。
ご招待を受けたらぜひ、少しだけオシャレをして参加してみましょう。自由なスタイルがほとんどですので、開催時間内に訪れて先ほど説明したようなお祝い料理やマレー料理をいただき、他の皆さんとお話をして30分~一時間程度交流するという過ごし方が一般的です。
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いかがでしたか。ハリラヤを理解するための代表的なあれこれをご紹介してみました。一歩踏み込んだマレーシア文化を体験してみたい方はぜひ、機会を見つけてマレーシア人と共にハリラヤを楽しんでみてください!
【祝!マレーシア航空が8月よりクアラルンプール―羽田線就航!】
マレーシア航空が8月14日からクアラルンプール―羽田路線を新規開設と発表。首都圏在住者はもちろん、日本各地から羽田空港での乗り継ぎを希望するユーザーにも嬉しい就航となります!
10月27日までは週二回往復の運航を予定しており、運航スケジュールは以下の通り。
MH37便 羽田発0:25/クアラルンプール着06:15(月/木)
MH36便 クアラルンプール発14:45/羽田着22:35 (水/日)
今回のマレーシア航空日本路線新規就航は四路線目となり、クアラルンプール―成田線、クアラルンプール―関西線、そしてコタキナバル―成田線に続く形となり、日本国内、そしてマレーシア国内双方において好アクセスを実現できるようになっています。
4月から入国全面緩和で日本からの観光目的入国者も大幅に増えているマレーシア。この嬉しい新規就航路線のニュースでさらにマレーシアへの期待が高まること間違いなしです。
【ジョホールバルに日本人サポーターが大集結!AFCチャンピオンズリーグ開催】
4月下旬にマレーシア・ジョホールバルで集中開催されたAFCチャンピオンズリーグのグループステージ。日本から川崎フロンターレが出場、そしてマレーシア及び東南アジア各国でコロナウイルス感染拡大防止の渡航規制が一斉に解除された直後ということで、マレーシア各地、そしてシンガポールやタイからも日本人サポーターが集結!久しぶりのサッカー国際試合観戦を楽しむ姿が見られました。
川崎フロンターレ出場試合での日本側のサポーターは50人程度と多くはなかったものの、久しぶりの国際試合で会場には一体感が生まれ、チーム関係なく応援し合う様子も見られるなど非常に盛り上がりました。川崎フロンターレは残念ながらグループステージ敗退となりましたが、開催地チームであるジョホール・ダルル・タクジムはクラブ史に残る快挙の勝利を得る結果となりました。
【「Anime Fest」開催!日本アニメファンがコスプレで大集結】
5月12日~16日、クアラルンプール郊外の町プタリンジャヤのパラダイムモールにて日本のアニメイベント「Anime Fest」が開催されました。
会期中は国籍を問わずコスプレをしたアニメファンが大集結した他、おもちゃ、漫画、ゲーム、アニメグッズ、フィギュア、コレクターズアイテムなどの販売なども盛んに行われ、改めて日本アニメの人気の高さが話題となりました。
今回のイベントは、ルックイースト(東方政策)40周年記念イベントとして在マレーシア日本大使館が公認しており、大使館は公式Facebookを通じて「アニメ文化が日本とマレーシアをより強く結ぶことを願っています。」とメッセージを寄せています。
【2022年5月のマレーシア最新情報まとめ】
ラマダーン月が終わり、ハリラヤのお祝いムードに包まれた5月のマレーシア。久しぶりの解放感溢れるハリラヤに人々の笑顔が満ち溢れた一カ月となりました。