多民族国家マレーシアで体験!福を呼ぶ中国旧正月限定料理「イーサン」
各民族の信仰ごとに新年がある国マレーシア。まもなく、中華系民族の新年となる旧正月、チャイニーズニューイヤーがやってきます。
国全体が旧正月のお祝いムードに包まれる今の時期、なんとマレーシアとシンガポール限定で楽しめるお祝い料理があることをご存知でしょうか。
【町が真っ赤に染まる!マレーシアの旧正月】
2022年の旧正月元旦は2月1日。日本の大晦日へ向かっていく年末の雰囲気と同じく、ここマレーシアでも中華系民族が多く暮らすエリアやお店では新年を迎えるための準備で大忙しとなります。
町は縁起が良いとされる赤い飾り付けで溢れ、どこのショッピングモールも気合いの入った真っ赤なディスプレイが施されています。…と、ここまではマレーシアに限らず、中華系民族が多く暮らす国や地域であれば見ることのできる光景。
もちろん、この至るところ真っ赤!な旧正月の雰囲気だけでも十分楽しめること間違いなしですが、なんとここマレーシアでは、その盛り上がる旧正月の雰囲気をさらに何倍にも盛り上げてくれる伝統のお祝い料理があるのです。
【福を呼び込む旧正月お祝い料理「イーサン(魚生)」】
旧正月に中華系の人達が楽しむお祝い料理、それが「イーサン」と呼ばれるいわばおせち料理のような存在のものです。ひとつの大皿を大勢で囲みワイワイにぎやかに食べる縁起のいい料理で、おそらくマレーシアやシンガポールの文化に触れたことがある人以外はあまり知ることのない伝統料理です。
イーサンは漢字で「魚生」と書き、文字通りお皿には生魚の切り身、サラダのような野菜がこんもりと盛られているのが特徴です。
中華系の料理ということで、では本場である中国でも食べられているのかというと、なんとありません!中国文化の本山とも言える中国や香港などにはなく、マレーシアとシンガポール、インドネシアの一部のみで伝わっているという不思議な旧正月のお祝い料理なのです。
【混ぜて落とす!ぐちゃぐちゃなイーサンのお皿には大きな意味がある!】
マレーシアで楽しめるこのイーサン。実はその食べ方に大きな特徴があります。
イーサンの正しい食べ方は、「高く上げて落として混ぜる!」です。え?食べ物を上げる?落とす?と、日本人ならばちょっとびっくりしてしまうかもしれませんが、その食べる前の一連のアクションが福を呼び込むためにとても大事なのです。
お皿が運ばれて来たら皆でテーブルを囲んで箸を手に持って立ち上がり、合図とともにいっせいに具材を混ぜ始めます。
混ぜる、と書いてみましたが、正確には混ぜるために具を高く持ち上げて落とします。その間のテーブルはこんな感じで、何も知らずに目撃したら料理とは思わない人もいるかもしれない様相ですね。
高く上げれば上げるほど幸運が舞い込むと言われ、高い位置からお皿に落とします。もちろんお皿からはみ出ても大丈夫。そして、箸を動かしている時に願いごとを声に出してお願いするのがいいのだとか。「両親が健康でありますように」「お金持ちになりたい」「大学に合格するように」「彼女が欲しい」と、それぞれが自由にこれから一年の願い事を唱えます。
そして祭りの後。こんな感じで大皿の周囲にぐちゃぐちゃに飛び散った具材の数々。汚れたテーブルは良い縁起につながるとされていますので、問題ありません!
もちろんこれを小皿に盛り直し、美味しくいただくまでが儀式です。
【伝統のお祝い料理イーサンはどこで食べられる?】
この二年間は新型コロナの影響で家族や友人で集まってのお祝いはできませんでしたが、2022年はその規制も緩和され、旧正月に向けて皆で集まって食事をする風景が町で見られています。
ホテルやレストランでもこのお祝い料理イーサンを提供しているので、もしマレーシアでこの時期に食事をする機会があれば、ぜひお店で楽しんでみてください。
また、この時期に中華系の方から食事にご招待された場合はこのイーサンを楽しめることが多いです。もし機会を得ることができたら、ぜひとも臆せず大胆に箸と腕を動かして高い所から落としてみましょう!
この時期はスーパーなどで保存の効く持ち帰り用のイーサンセットが売られています。値段にもよりますが内容も豪華なものが多いので、どんな味なのか試してみたい方は、まずはお家で体験してみるのもいいかもしれません。
【旧正月お祝い料理イーサンのまとめ】
今しか食べられない旧正月料理イーサン。その味だけでなく、皆で集まってひとつのお皿を囲んで楽しむこともできる、とてもおめでたい料理ですので、ぜひ機会があれば楽しんでみてください。