【ハリラヤ、旧正月、ディパバリ】マレーシア三大民族の祝日を徹底解説!
多民族国家マレーシア。世界各国から多くの人が集まり、人種や文化の多様性を容認することから住みやすい国として知られています。東南アジアの中では比較的治安がよく、一定の経済条件を満たせば比較的取得が容易な長期滞在ビザ(MM2H=Malaysia My Second Home)プログラムがあることから、日本人移住者も多くいます。また外国人でもRM100万(約2500万円)以上の物件であれば不動産の取得も可能(※)のため、移住先で家やコンドミニアムを購入したり、投資をしたりすることができます。
※……マレーシアの州は自治権があるため、各州によって条件が異なります。土地の所有権などは許可されない州もあります。詳細は当社へお問い合わせください。
マレーシア人の中心となる三大民族といえばマレー系(イスラム教徒であるムスリム)、中華系、インド系です。それぞれの民族に新年を祝う習慣があり、国の祝日となっています。そのため、「マレーシアには1年で3回のお正月を迎える」などといわれることも。
今回はそれぞれの民族らしさあふれる祝日をご紹介いたします。
ムスリムの新年ハリラヤアイディルフィトリ
マレーシア国民の約7割を占めるマレー系マレーシア人のムスリム(イスラム教徒)の新年がハリヤラです。正式にはハリラヤ・アイディルフィトリ(Hari Raya Aidilfitri)またはハリラヤ・プアサ(Hari Raya Puasa)です。
一般的に「断食月」と呼ばれ、ムスリムにとって重要な行事とされる約1ヶ月にわたるラマダン(Ramadan )開けを祝い、新しい年の訪れを祝います。イスラム圏で用いられているイスラム暦(太陰暦)では1年は354日となっているため、毎年10日ほど前にずれていきます。
「断食月」という言葉から、ラマダン期間中は何も食事をしないという印象がありますが、飲食が禁じられているのは夜明けから日没までの日中です。そのため夜明け前にスフール(suhur)、日没後にイフタール(iftar)と呼ばれる食事をとります。
ラマダンの目的はストイックな生活をすることで、己に打ち勝つという主旨ですが、その先にあるハリラヤ(新しい世界)を祝うための準備期間でもあるため、日本のお正月のように服や家具を新調したり、特別な食事の準備をしたりします。また日中には日没後に食事の準備をしなくても済むように、あるいは日没と同時に食事ができるように、ラマダンバザールが全国各地で開催されます。また道路わきでは竹筒で炊いたごはんレマン(leman)を売る屋台が見られ、これがマレーシアの年末ともいえる風景となっています。
ラマダンからハリラヤにかけてのデコレーションといえば、イスラム教のアイコンでもある星や月だけではなく黄色と緑で織り込まれた立方体の飾りがあります。これはカトゥパ(Ketupat)と呼ばれ、椰子の葉で編まれた容器に餅米を入れ、ココナッツミルクで炊いたものが入っています。マレー系の伝統的なお祝いごとに出てくる料理となっています。
イスラム暦の新年となるハリラヤ当日、多くのムスリムの家ではオープンハウスを開催し、自宅に食事や飲み物をたくさん用意し、人々を招きます。女性は通常もヒジャブ(hijab)と呼ばれるスカーフをしているのですが、新年には男性もムスリムの正装となるバジュマラユ(Baju melayu)を着用している姿をみかけます。
外国人や異教徒はラマダンの期間でも何も制限がなく平常どおりに生活をしますが、一般的なマナーとして、ムスリム教徒の前では気持ち控えめに飲食をする、などの心遣いがあるように思います。
中華系の新年チャイニーズニューイヤー(旧正月)
中華圏で日本では春節と紹介されるチャイニーズ・ニュー・イヤー(Chinese New Year)。中国暦(太陰暦)が用いられているため、毎年1月下旬〜2月下旬になります。期間は新月から次の満月まで15日間続きます。
チャイニーズ・ニュー・イヤーの起源が諸説ありますが、そのうちの一つとして「年(ニヤン)」という怪物が村を襲撃したときに、苦手とされた大きな音、明るい光、赤い色を使って追い払い、その後村には幸福と繁栄が長く続いたという話があります。以来、幸運と繁栄の象徴として花火をあげ、爆竹を鳴らし、街中を赤で飾るという伝統になったとのことです。爆竹の音は悪運を払うとされ、レストランの新規開店当日などには必ず披露されます。ショッピングモールやチャイナタウンではライオン・ダンス(lion dance)が披露されますが、マレーシアでは段差のついたポールの上を飛び回るアクロバティックな動きで大変任意があります。ライオンの口からみかんなどが投げられますが、このみかんも繁栄の象徴として、この時期はスーパーやマーケットなどでも目にします。
マレーシアではクリスマスも祝日ですが、12月25日以降は町中が一気に赤いデコレーションで染まります。また前日の大晦日には日本のように帰省をして、家族が集合し、ゆっくりと過ごすのが伝統です。この時期は帰省ラッシュがおき、また連休となるため観光地なども大混雑します。夕方には一年で一番重要な食事となるリユニオンディナー(reunion dinner)を楽しみます。またアンパオ(ang pao=紅包)と呼ばれる日本のお年玉のように、封筒に小額の紙幣を入れて配る習慣があります。マレーシアではふだんお世話になっているコンドミニアムのガード(セキュリティ)や行きつけの店のスタッフなどにも渡すこともあります。
チャイニーズニューイヤーを祝う食は数多くありますが、マレーシアとシンガポールでしか食べない祝膳がイーサン(Yes Sang=魚生)。野菜、ポメロ(大きなかんきつ類)、緑と赤の揚げた麺をくだいたもの、揚げワンタン、きゅうり、マンゴー、パイナップル、ピーナツフレーク、パクチーなどが入っています。大人数で箸をつっこみ、高く持ち上げテーブルが汚れるほどまぜて願い事をいいながら食べます。あっさりしていて、福を呼ぶ料理ということで、近年は中華系レストランだけではなく、タイ風、和風などさまざまなバリエーションも出ています。
インド系の光の祭典ディパバリ
ディパバリ(Deepavali)またはディーワーリ(Diwali)と呼ばれるヒンドゥ教徒が多いインド系マレーシア人にとっては大事な行事となります。正確にいうと新年を祝う日ではなく「光の祭典(festival of lights)」と呼ばれています。
ヒンドゥー暦では10月中旬〜11月中旬に開催され、幸運と豊穣を象徴するヒンドゥー教の女神ラクシュミに祈りを捧げる日とされています。その起源は諸説ありますが、一説によると本国インドではヒンドゥーの神が闇と象徴される暴君に打ち勝った日に、人々がランプを灯して祝ったと言われています。「暗闇に対する光の勝利」ということで光の祭典(festival of lights)と呼ばれることもあるのだとか。
ディパバリ前は家の改築や掃除などをすると縁起がよいと言われています。豊かさを象徴するゾウ、勝利を象徴する孔雀などヒンドゥー神話にまつわる動物がディスプレイされ、ランゴーリー(rangoli)と呼ばれる米を使ったサンドアート(砂絵)が家の前や商業施設の入り口などに描かれます。幾何学模様や動物(孔雀など)で、遠くから見るとわからないのですが、近くに寄ると米一粒、一粒に色がつけられ描かれている緻密さと美しさは必見です。周囲にはディヤ(diyas)というオイルランプが飾られます。これが冒頭でお伝えした勝利を祝ったランプです。
クアラルンプールのターミナル駅KLセントラルにほど近い場所にあるリトルインディアではディパバリの夜になると花火や爆竹を盛大に鳴らして祝います。また光をテーマにした装飾が多いため夜には幻想的な雰囲気となります。周囲の店ではディパバリの期間はセールも開催されます。この時期の買い物は富をもたらすとして大変人気となっています。
それぞれの民族のホリデーだけではなくクリスマスも祝日となるマレーシア。気付くとあっという間に1年が過ぎていってしまいます。
日本人の移住先や投資先としても人気のマレーシア。興味がございましたら、ぜひ当社へご相談ください。