生まれ変わる世界遺産の町マラッカ!秘めたる将来に大注目
2008年に世界遺産登録された町マラッカ。マレーシアの数ある都市の中でも極めて多民族文化が混在し、歴史的にも常に注目を集めてきた地域であることはすでに周知の事実です。
歴史的建造物や文化、多彩な食を求めて多くの観光客が訪れているマラッカですが、都市全体の経済発展という視点で見た場合、実は観光資源以外にも着目すべき点が多く、大きな可能性を秘めた都市であることはあまり知られていません。
今回は、マラッカで今後どのような発展が見込まれているかについて解説。観光以外の魅力に触れ、マラッカの将来性についてご紹介いたします。
【マラッカ州概要】
まずは、マラッカ州の基本情報を数字と共にお届けします。
マラッカ州基本情報
- 州名:Negeri Melaka(マラッカ州/メラカ州)
- 面積:1,664平方キロメートル(マレーシアでは3番目に小さな州)
- 州都:Bandaraya Melaka Bersejalah(マラッカ市)
- 人口:93.2万人(2021年)
- 主な産業:製造業(電子部品、電子機器、大型機械)、サービス業(観光、ホテル、医療)(2019年)
- 年間観光客数:1,830万人(2019年)
【好アクセスが魅力!地理に恵まれたマラッカ】
マラッカは観光業が盛んということはマレーシアの国内外でも知られ、弊社のご案内でも何度もお伝えしています。
日本の京都のような位置づけで歴史を存分に感じられる都市マラッカには、国内はもとより諸外国からも多くの観光客が訪れ、2022年後半からはコロナによる数年の観光業の落ち込みも跳ね返すかのように急速に人気を取り戻しています。このままのペースで回復が進めば、マラッカ州政府観光局が目指す年間2,000万人の観光客数達成も早い段階で実現が叶うのではないでしょうか。
このスピード感ある人気回復も、やはり各主要都市からマラッカへのアクセスが良いという点が大きく影響しています。
マラッカへのアクセスは、マレー半島を縦断する高速道路とマラッカの中心が短時間で繋がること、そして国際空港であるKLIA(Kuala Lumpur International Airport)からのアクセスも車で約1.5時間という近さとなり、非常に気軽に訪れることができます。
また、マラッカは隣国であるシンガポールからのアクセスも良く、彼らにとっては最も身近な海外の観光地となっています。マレーシアの首都であるクアラルンプールとシンガポールのちょうど中間に位置することから、シンガポールからの観光客が数カ所滞在をする場合はマラッカ滞在を経てクアラルンプールへ、というコースも一般的。
マレーシアには他にも魅力的な観光スポットは多々ありますが、マラッカのように空港からも、そしてシンガポールからも好アクセスが望める場所はあまりなく、この立地も観光客増加に大きく影響しています。
そして、この好アクセスは観光に限らず、ビジネスでの拠点、居住エリアとしての選択の際にも有利に働き、それもあってか近年ではマラッカには多彩な方面からの企業や人々の流入が目立ちます。
現在でも申し分ないマラッカの好アクセス条件ですが、今後マレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道(HSR)の建設が再開し完成すれば、さらに短時間でのアクセスが可能となり需要が伸びていくことが予想されています。
【製造分野から見るマラッカの重要性】
観光地としての存在感が際立つゆえにあまり知られていませんが、実はマラッカはマレーシア国内の製造業拠点としても重要な位置付けです。1970年頃からマレーシア政府主導のもと工業団地の建設が進み、現在は州の主要産業にまで発展。マラッカのGDPのうち製造業が約4割を占めるという、すでに安定期に入った感すらあります。
中心部から少し郊外に行くと、多くの世界的な企業の工場が点在しており、大きく分けて5つの工業団地が築かれています。東南アジア最大規模となるチップ工場や、マレーシア最大ソーラー発電生産拠点やツバメ加工工場など、マレーシアのみならず東南アジアの経済に多大な影響がある生産拠点が軒を連ねています。
中でも最も象徴的な生産拠点のひとつが、マレーシア最大の石油・ガス企業であるPetronas(ペトロナス)。1990年代にマラッカの沿岸町スンガイウダンにマレーシア一の生産量となる石油精製所を設立しています。
Petronasは誰もが知るマレーシア最大規模の企業であると同時に国営企業でもあり、政府と密接な関係を持つ企業がマラッカに重要拠点を設けることを見ても、マレーシア政府がマラッカを重要な位置づけとして見ていることが分かります。
【マラッカ海峡沿岸部で進む大規模再開発】
このように、近年では観光地のみならず経済面でも安定期に入っていたマラッカですが、現在は今後のさらなる発展に向けての再成長期を迎えています。
世界遺産に登録をされているマラッカの中心部は新たな開発を行うことができないため、着目されたのがマラッカ海峡に面した沿岸部一帯。長い時間をかけて大規模な埋め立て工事を行っていた沿岸部ですが、それが終了。現在はその埋め立て地の各所で大規模な開発が着々と進んでいます。
この埋め立てと合わせた再開発事業は沿岸部のいくつかのエリアにて行われており、どのプロジェクトも巨大な複合商業施設や高級ホテルはもちろんのこと、住宅となる高級レジデンスも建設が進んでいます。そして貿易港としての整備はもちろんのこと、今後需要増となるIT特区を構える計画も。これらの整備と誘致も合わせ、マラッカ州政府では再開発事業全体で新たに45,000人の雇用を生み出し、海外からの投資も呼び込むとしています。
【マラッカの中心地が生まれ変わる!大注目プロジェクトM-WEZとは?】
そして、この埋め立てによるマラッカ沿岸部大規模再開発の中でも最も注目が集まっているのが、経済区開発プロジェクト「M-WEZ」です。
M-WEZとは、「The Melaka Waterfront Economic Zone」の略称で「マラッカウォーターフロント経済区」を意味します。
マラッカ州政府がマラッカ発展の目的で進めている巨大開発プロジェクトとなり、今後15年間でRM1,000億(約2兆7,000億円)の投資を呼び込み、全長33㎞、山手線内側の1.5倍の面積に匹敵する約10,000ヘクタールの土地を新たな経済区として開発することが予定されています。
【M-WEZの象徴「THE SAIL」の存在感】
現在、マレーシア国内屈指の投資先として世界的に期待が寄せられているこのM-WEZプロジェトですが、その中でもSheng Tai Internationalが開発を進める「THE SAIL」はこのM-WEZを象徴する存在となっています。
THE SAILが建設されているのは、多くの観光客が訪れる世界遺産となっているマラッカの町の中心から車で10分ほどのKota Laksamana(コタラクサマナ)というエリア。今回のM-WEZプロジェクトの中では最も観光地と隣接したまさにマラッカの歴史と隣り合わせの立地。M-WEZプロジェクトの中心地に位置することで、マラッカの新旧を存分に満喫できるエリアとなっています。
何度もお伝えしているように、これまでのマラッカの最大の魅力はその町全体に溢れる歴史だったと言えますが、それは言い換えれば開発には留意しなくてはいけないという弱点にもなっているということです。そのため、これまでのマラッカにはクアラルンプールなどと比較すると高級ホテルは少なく、高級ブランドなどのショッピングが楽しめる大規模のハイエンドモールはありませんでした。そんなマラッカで今最も期待が集まるスポットが、このTHE SAILなのです。
THE SAILは61階建てビル9棟で構成され、メインタワーには国内初のファッションブランドホテルが開業を予定。また、別棟には5つ星ホテルや高級レジデンスも入居予定となっています。特にマラッカ初となるラグジュアリーモールの総面積は16万㎡という広さで、オープン後はマラッカの一大スポットとなること間違いなしです。
【順調に進む建設!盛大な式典に湧いたマラッカ】
2019年12月に着工したTHE SAIL。建設は着々と進んでおり、この2023年1月14日にはプロジェクトの第一期工事が完成したことを記念して、マラッカにて盛大な式典が開催されました!
イベントには、香港、日本、韓国、中国、ドバイ、シンガポール、中東、ロシア、米国、英国など実に15カ国以上から、国際投資家など約1,000人のゲストが参列。その盛大さとマラッカの今後の発展に注目が集まり、マレーシア国内外の多くのメディアにも取り上げられ話題となりました。
また、式典当日のその盛大ぶりはプロジェクト関係者や参加者のみならずマラッカに暮らす人々の間でも話題に。このTHE SAILの進捗と完成に集まる期待を現した一日となりました。
【生まれ変わる世界遺産の町マラッカまとめ】
新たなステージを歩み始めているマラッカの現在をお届けしました。
そのランドマークにもなりえる「THE SAIL」が、再開発プロジェクトM-WEZの先駆者的な存在としても注目されていることもお分かりいただけたでしょうか。今後変わりゆくマラッカの新旧が楽しみですね!