【最新レポート】2022年7月のマレーシア・ニュース
この一カ月にマレーシアで暮らす日本人の間で盛り上がった現地最新情報、そしてマレーシア国内で注目されたニュースをお届けします。
【もうひとつのハリラヤ「ハリラヤ ハジ」を迎えたマレーシア】
2022年7月10日、マレーシアではイスラムの祝祭「ハリラヤ ハジ(Hari Raya Haji)」を迎えました!当日は、イスラム教徒であるマレー系マレーシア人達が実家に帰省して集まるなど、各地がお祝いムードで賑わいを見せました。
5月に迎えた「ハリラヤ アイディルフィトリ(Hari Raya Aidilfitri)」と並んで「ハリラヤ」と呼ばれる祝祭ですが、どういう意味があり、そしてマレーシアではどのような過ごし方をする日なのでしょうか。せっかくですので簡単に解説をいたします。
「ハリラヤ アイディルフィトリ」については、過去のニュースを参照ください。
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<二つの意味を持つ日「ハリラヤ ハジ」とは>
イスラム教の祝日となる「ハリラヤ ハジ」は、イスラム暦の巡礼月となる12番目の月の10日目(イスラム暦の12月10日)にあたります。この日は日本語訳としては「巡礼祭」と「犠牲祭」と呼ばれる二つの意味がある祝祭の一日となります。
まず一つ目の「巡礼祭」について。イスラム教徒には「五行」と呼ばれる義務行為があり、その一つに「メッカ巡礼」があります。イスラム教の聖地であるサウジアラビア王国にあるメッカ。巡礼月になるとそこを目指して世界中のイスラム教徒が集まり、そして巡礼をする月の最終日、つまりイスラム暦(ヒジュラ暦)の12月10日が「ハリラヤ ハジ」の日となるのです。イスラム暦は毎年少しずつずれていくため、2022年は7月10日がハリラヤ ハジの日でした。
この巡礼月には世界各地からイスラム教徒が巡礼に訪れますが、メッカに行ける人数は国ごとに割り当てが決められており、マレーシアからは毎年約3万人がこの時期にメッカを訪れると言われています。
そして二つ目の「犠牲祭」について。この日、巡礼者たちは牛や山羊などの生贄を捧げて巡礼の成功を祝い、そして巡礼に行かなかった者たちも地元で宗教儀礼に則った牛などの屠殺を行なってこの日を祝います。
<マレーシアでのハリラヤ ハジの過ごし方>
祝日となるマレーシアのハリラヤ ハジ。イスラム教徒達はこの日は実家に帰省をし、家族達と祝祭を迎えるのが一般的。そのため、マレーシア各地では帰省のための渋滞が起こります。ただ、ハリラヤ アイディルフィトリと比較するとお休みの期間はかなり短く、皆あっさりと三日程度で通常モードに戻るのが一般的です。
ハリラヤ ハジの当日朝、イスラム教徒達はモスクで集団礼拝を行ない、その後モスク敷地内や地域の決められた場所で牛や山羊などを生贄として捌きます。
イスラムの先導者による指示のもと、地域の男性達が協力し合って屠殺を行う様子を女性や子供達も真剣な眼差しで見つめるという光景は、なかなか興味深いです。
日本の都会などでは、自分達が食しているお肉がどのような過程を経てお店に並ぶかを見る機会はほぼないかと思いますが、マレーシアでは今でもそのような機会を目にすることができます。
この屠殺風景は非イスラム教徒が見学をすることも何ら問題はありません。
もし興味がある方は、そのような光景に出くわしたらぜひ足を留めてみるのもいいかもしれません。
捌いたお肉はその後すぐに切り分けられ、牛などの提供者、貧しい家の人達、そして屠殺を行った人達に平等に分配されます。
富は皆で分かち合うというイスラムの考え方に基づいた習慣で、その分配されたフレッシュなお肉でハリラヤ ハジのお祝い料理を作ることでさらに喜びを分かち合うという側面もあります。
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イスラム教徒にとっては大切な日である「ハリラヤ ハジ」。その意味を知ると、さらにマレーシアでの祝日の楽しみ方も変わってくるかもしれませんね!
【「蔦屋書店」マレーシアにてASEAN一号店オープン!】
2022年7月7日、クアラルンプール郊外に位置する2021年12月に開業したばかりのショッピングモール「パビリオン ブキッ ジャリル」に「蔦屋書店」がオープン。ASEAN一号店がマレーシアにてオープンということで話題を集め、在マレーシア 日本大使がテープカットに参列するなど盛況なオープニングとなりました。
今回、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)と、双日株式会社の合弁会社であるTSUTAYA BOOKS Malaysia Sdn. Bhd.が現地加盟企業とフランチャイズ契約を結び、「Bukit Jalil TSUTAYA BOOKS/ブキット・ジャリル 蔦屋書店」をオープン。約26万4000冊の書籍やアート作品、そして約8千種類の文房具を取り扱う大型複合書店です。
この店舗のメインターゲットは20代~40代のニューファミリー層。広い店内は主に、キッズ、アート、読み物、ライフスタイル提案の4つのテーマに分けられ、そして多民族・多言語国家であるマレーシアらしく、英語、中国語、マレー語、日本語の四言語でそれぞれのテーマの書籍がセレクトされています。
また、BOOK&CAFEとして、購入前の書籍などを手に取って楽しみながら寛げるカフェも併設。
これまでにないスタイルの店舗に地元のマレーシア人達からの注目度は高く連日盛況で、週末は入店待ちの長い列ができています。
【5万人が日本の夏を満喫!三年ぶり巨大盆踊り大会開催】
2022年7月16日、マレーシアで46年続く盆踊り大会が三年ぶりに開催され、過去最高となる5万人が来場。会場となったシャーアラムのスタジアムは熱い舞いに興じる人達で大いに盛り上がりました。
1977年に始まったこの盆踊り大会。まだマレーシアで暮らす日本人が今よりも格段に少なかった時代、日本の文化紹介や認知、そして二国間の文化交流を目的にスタート。
1980年代に始まったルックイースト政策の影響も受けて日本への人気はさらに加速。
それに並ぶようにこの盆踊り大会への注目度も高まり、徐々に参加者数も増えていきました。マレーシアで暮らす日本人はもちろんのこと、日本が好きなマレーシア人達が毎年楽しみにする一大イベントに成長しましたが、この二年はMCO(Movement Control Order=活動制限令)のために開催が見送られ、なんと三年ぶり!
それぞれが待ち望んだ開催となりました。
当日は夕刻が近づくとともにたくさんの人が来場。和太鼓の演奏、そして盆踊りは3ステージ!やぐらの上に立つ日本人学校の生徒達が披露する「東京音頭」や「花笠音頭」に合わせ、多くの人達がやぐらの周りに何重にも輪になり笑顔で踊る様子は圧巻。ここが異国マレーシアであるとは信じがたいくらいの光景でした。
また、お祭りには付き物の屋台ご飯も充実!48の飲食ブースが並び、お好み焼きやたこ焼きはもちろん、日本ブランドの数々の飲食店が出店。どのブースも行列ができて盛況でした。
この盆踊り大会は例年約3万人程度の来場者数がありますが、今年は久しぶりの開催ということもあって人々の期待度は高く、5万人の来場者数を記録するビッグイベントとなりました。日本の夏の風物詩である盆踊りを楽しみにしているマレーシア人達が大勢いることは、とても嬉しいですね。
【安倍晋三元首相急逝にマレーシア要人たちが公式弔問】
2022年7月8日、安倍晋三元首相が急逝。この訃報に対し、多くのマレーシアの政治家達から哀悼の意が表されました。
この3月にルックイースト政策40周年および日馬外交関係樹立65周年を記念する特使としてマレーシアを訪れるなど、知名度が高く親交も深かった安倍元首相の訃報はマレーシアの各報道機関も大きく報道。イスマイル サブリ首相が在マレーシア 日本大使館へ弔問に訪れたほか、マハティール元首相が滞在先の韓国からその足で日本の安倍元首相宅を訪れるなど、多くの政治家が公式弔問を行ないました。
【2022年7月のマレーシア最新情報まとめ】
いかがでしたか、7月のマレーシア。いよいよ来月8月は日本は夏休み旅行シーズン到来。マレーシアを訪れる日本人も一気に増えそうです!たくさんの方がマレーシアの良さを体感してくれることを願います。